最高裁判所第二小法廷 昭和25(ク)40 決定
主 文
本件抗告を却下する。
抗告費用は抗告人の負担とする。
理 由
最高裁判所が抗告に関して裁判権をもつのは、訴訟法において、特に最高裁判所
に抗告を申立てることを許した場合に限られる。そして民事事件については、民訴
四一九条ノ二に定められている抗告のみが右の場合に当ることは当裁判所の判例と
するところである(昭和二二年(ク)第一号同年一二月八日決定参照)。従つて、
最高裁判所に対する抗告申立には同四一三条は適用がなく、その抗告理由は同四一
九条ノ二によつて、原決定において法律、命令、規則又は処分が憲法に適合するか
しないかについてした判断を不当とするものでなければならない。ところが、本件
の抗告理由は、抗告人は先に本件建物に対する相手方の占有を解いてこれを執行吏
の保管に移し、相手方には現状を変更しないことを条件として使用を継続させると
いういわゆる現状維持の仮処分決定を得た後、相手方が現状を変更したことを理由
に更に本件において、右の建物を執行吏に保管させる旨の仮処分を求めたのに対し、
原決定はかかる仮処分を求めることは許されないとしたが、右は違法であつて結局
憲法により保障された抗告人の財産権享有の侵害を伴うものであるというに帰する。
しかし右の抗告理由は畢竟既になされた所論のような仮処分決定の後、更に所論の
ような第二次的仮処分が求め得られるかという民訴法上の問題に関し原決定のこれ
に関する解釈を非難するにすぎないものであつて、かかる主張は単に名を憲法違反
に藉りるものにすぎず、いわゆる憲法違反の主張に当らないものといわなければな
らない。
よつて本件抗告を不適法として却下し、抗告費用は抗告人に負担させることとし、
主文のとおり決定する。
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昭和二六年六月二九日
最高裁判所第二小法廷
裁判長裁判官 霜 山 精 一
裁判官 栗 山 茂
裁判官 藤 田 八 郎
裁判官 谷 村 唯 一 郎
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